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【犬・猫の癌対策】低糖質、高タンパク質が、がんを抑制する

もし食事の工夫でがんを抑えられるとしたら、飼い主様にとって朗報ですね。

でも本当にがん食事療法は役立ちます。治療にも予防にも役立ちます。

がんは糖質が大好物ですから与え過ぎないようにしてみてください。糖質を多く含むのは穀物類です。穀物はドッグフードの主原料です。

ただ食事をがらっと変更すると、愛犬や愛猫によってはストレスになってしまうことがあります。また多少なりとも飼い主様の手間も増えてしまいます。ですので、できることから手を付けて頂ければと思います。文章中には少し厳しめの表現もありますが、ぜひとも前向きなお気持ちで読み進めてみてください。

このページは、日頃弊社が行っている食事アドバイスをまとめたものです。ひとりでも多くの飼い主様のお役に立ちたいとの思いから、公開することにしました。もし疑問がございましたら、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。

読み進めるにあたっては、こちらのプリントをご参照いただきますと理解しやすくなるかと思います。

プリント「ペットだって医食同源」は、スーパーで手に入るような安価な食材を使い、あまり手間を掛けずに食事を見直すご提案です。

ご愛犬とご愛猫の長生きのため、がんの予防・治療にお役立てください。

糖質制限、高タンパク質は基本です。

がんの糖質制限がんがブドウ糖を好むことご存知でしょうか。関係者には以前から知られている常識なのですが、それを積極的に食事療法に活かしていこうという考え方はあまり広まっていません。

なぜ広まらないのか気になるところだとは思いますが、安上がりで良いものが広がると困る人もいます。ここではその説明は省いて話を進めていきます。

私たちはがんの犬や猫に「糖質制限食」をお勧めしています。できるだけ糖質を抜き、その分タンパク質をたくさん与えることを提案しています。

この食事療法を甘く見てはいけません。犬猫の個体差はあれども、糖質制限を実施すれば、がんの進行にある程度のブレーキがかかると考えています。

糖質制限を徹底するほど効果的ではありますが、無理をしすぎてはいけません。途中で挫折しないように、ライフスタイルに合った方法で続けてください。いくつかの方法を組み合わせたりローテーションさせても良いと思います。

とはいえ、次のような食事をしているケースでは悠長なことを言っていられません。早急に改善して頂きたいと思います。

すぐに見直していただきたい食事
  • 愛犬、愛猫に白米やパン、うどん、お菓子を与えている。
  • 穀物の比率がとても高いフードを与えている。
  • かぼちゃ、じゃがいも、さつま芋などの高糖質の野菜や根菜を大量に与えている。

タンパク質を増やすことにも、がんの犬や猫には大きなメリットがあります。

タンパク質は体を作るための大切な材料で、筋肉だけでなく全ての内臓組織や結合組織で大量に使われています。

タンパク質には無数の種類がありますが、どのタンパク質もアミノ酸が複数個結合して作られています。アミノ酸の中にはどうしても体内で合成することができない「必須アミノ酸」と呼ばれるアミノ酸があり、それらは食事から取り込むしかありません。

特にがんの犬猫たちはタンパク質不足に陥っていることが少なくないのでしっかりと与えてください。血液検査でアルブミン値(ALB)が3.0を下回っていたら基準値内であっても安心しないほうが良いです。今後みるみる下がってくることも考えられます。

タンパク質が足りなくなった犬や猫では、内臓の機能が低下したり体力が落ちてきます。いずれ元気や食欲が低下してきます。ホルモンバランスが悪くなったり、免疫の働きが低下したり、傷の治りが悪くなったり、胸水や腹水、浮腫みが現れやすくなります。

また、お薬は、体内のタンパク質(アルブミン)に作用することで効果を表しますので、アルブミンが少ない状態ですと、薬の作用が期待していたものと変わってしまったり、副作用が出るおそれが出てしまいます。

体力が低下していたり体調がすぐれないときに、もし手術や抗がん剤治療、放射線照射をしたらどうなると思いますか?副作用や後遺症が強く現れて当然です。治療自体に耐えられないかもしれません。

体力、免疫力をしっかりつけておくことは、治療のベースとしても重要なのです。

糖質制限食の安全性

糖質(炭水化物)は三大栄養素の一つであり、糖質制限は危険だと考える人がいます。実際にそうなのでしょうか?

残りの三大栄養素のタンパク質と脂質には、それぞれ必須アミノ酸と必須脂肪酸があります。それらは体内で作ることができないので食事から補給するしかありません。長期間制限することは危険です。

それに対して必須の糖質というものはありません。動物がエネルギー源として利用しているのはブドウ糖(糖質の一種)ですが、実は体内で容易に合成することが可能です。

実際に徹底して糖質を制限しても、ブドウ糖が枯渇することはありません。血液中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値を観察していればわかります。血糖値は低血糖になるどころか正常値で安定するはずです。

さらに言えば、糖質の多い食事をしていると血糖値は大きく変動しやすく、食後の高血糖に続いて低血糖が現れることもあります。血糖を下げてくれているのはホルモン「インスリン」ですが、インスリンを分泌する膵臓は、糖質の多い食事を続けていると次第に疲弊してきます。また糖をたくさん含んだ血液は血管も傷めます。ブドウ糖を主なエネルギー源としている脳においても、血糖値の変動は好ましくありません。

膵臓からインスリンがたくさん分泌されていると、体の反応が悪くなってきて血糖値が下がらなくなってしまうことがあります。「インスリン抵抗性」という病態です。発がんとの関わりが指摘されています。他にも様々な病気と関わりがあることがわかってきています。

ただし以下の場合は糖質制限食の導入には注意が必要です。

注意の必要なケース
  • 糖尿病治療薬を使用している。
  • 腎不全など、徹底的なタンパク質制限を指示されている。

糖尿病治療薬(インスリン、経口血糖降下剤)を投与している子は危険です。

糖質制限食で血糖値が正常値になった状態でも、糖尿病治療薬はさらに血糖値を低下させてしまうため、低血糖状態となり、最悪の場合は昏睡状態に至ることがあります。

この場合、薬剤を減らすか中止する必要がありますが、タンパク質をしっかり与えること自体には問題はありません。

また腎不全の原因がタンパク質にあると常識のように言われていますが、実はタンパク質を制限しても腎臓を保護できるかどうかはよくわかっていません。人間の腎臓病でも画一的にタンパク質制限を指導することは推奨されていません。なぜなら重要な栄養素であるタンパク質の制限が様々なリスクを引き起こすと予想されるからです。特に早期の腎臓病ではタンパク質制限は不要と考えられています。どのくらいのタンパク質なら与えてよいか獣医師に確認して下さい。

なお糖質の摂り過ぎによる高血糖が腎不全を進めてしまう可能性は否定できません。(※人では高血糖による腎障害がとても多いのですが、犬や猫の場合は明らかではありません。)

なおアミノ酸スコアが100に近いタンパク質は生体内での利用率が高く無駄が少ないので、腎臓に不必要な負担をかけません。

ライフスタイルに合った糖質制限食

ワンちゃんもネコちゃんも、基本的に同じ考えで構いませんが、ネコちゃんのほうが気分屋だったり新しい食事を警戒してしまうことも多いので、少し時間をかけて慣れさせることがポイントです。

時間をかけていて良いのか?と思われるかもしれませんが、強引に始めて拒絶されてしまうと後が大変です。

自分なりの方法で始めてもらって構いません。いきなり完璧なものを目指すのではなく、食いつきや便の調子や体調の変化を観察しながら徐々に変えてみてください。飼い主様に負担がかかりすぎないことも大切です。

1.ドライフード+高タンパク食材

いままでフードを与えてきた子には最適な導入方法です。フードの栄養バランスを活かせるので、難しいことを考えずに開始できます。いまのフードに肉や魚を足して、その分フードを減らしてみましょう。

フードを減らして欲しいのは、一般的なフードには穀物やポテト、カボチャなどに由来する糖質が入っているものが多いためです。

肉や魚は代表的な低糖質・高タンパク質食材です。糖質含有量はほぼゼロです。アミノ酸スコアが100のものが多く、体内で利用されるときに無駄がありません。

肉は脂身の少ない鶏ささみや赤身肉が良いでしょう。欲しいのはタンパク質で、動物性脂肪はあまり摂らなくて良いです。魚については脂も有用です。魚はDHAやEPAと呼ばれるオメガ3系の油が豊富です。取り除かず与えてください。ただしデリケートな油ですから鮮度が落ちたり加熱調理によって質がどんどん悪くなるので気をつけてください。

ドライフードを変えてみようとお考えでしたら、パッケージ裏面の成分表示を必ずチェックしましょう。多くのドライフードは糖質(炭水化物)を表示してありません。表示義務がないのです。

糖質の少ないフードを探すためには、タンパク質の多いフードをチェックするようにしてください。

パッケージのオモテ面は広告だと思ってください。「穀物不使用」「新鮮な肉と野菜を使用」「免疫サポート」などと書かれているとついつい選びたくなります。嘘は書かれていないはずですが、選択基準にはなりません。

◯◯犬専用フード、消化器サポート、腎不全用フードなどをやめるわけにはいかないと考えている方もいらっしゃるでしょう。どの病気の治療が優先なのか一度整理して考えてみると良いと思います。今のフードが本当に役立っているのかも考えてみて下さい。

ドッグフード成分表
サンプル タンパク質 脂肪 繊維 水分 炭水化物 お勧め度
A31.312.13.37.634.8×
B52152.510記載なし◯
C42222.51012△
D1612不明10記載なし××
E208410記載なし××

2.冷凍生食

冷凍生食はドライフードの一種です。加熱調理していない肉に野菜類を混ぜ加えてあります。見た目は加熱調理前のハンバーグのような感じです。熱を加えていないので、酵素などが破壊されずに残っています。糖質が少ないうえ栄養バランスも整っているので、他の食材を加える必要がありません。

冷凍庫に保管スペースがとれなかったり、外出先で与える機会が多いのでしたら、フリーズドライ品もあるので検討してください。水分を飛ばしてあるので室温保管できますし軽量で持ち運びに便利です。食べる前に水でもどします。

3.完全手作り

「ドライフードこそ最高の食事だ」「手作りは危険だ」という方もいらっしゃいますが、それはご飯に魚の骨を乗せて味噌汁をかけた食事と比べてのことでしょう。

コツを抑えた手作り食は最高の食事となりえます。人と同じ品質の食材を使えるわけですから、病気で体が弱っている子に安心して与えられます。

基本的には肉や魚をメインにして低糖質高タンパク質食にします。肉は脂身の少ないものを選んでください。もちろん魚も使って構いません。スーパーの特売品で十分です。

肉や魚は生が一番なのですが、生で与える場合は、生食用と書かれているものにすると安心です。

また、始めて生物を食べる子は、お腹を下してしまう子がいます。

まずは半生程度から始めて頂き、徐々に生の割合を増やしていくと、体への負担も軽くなります。

ビタミンやミネラルを補うためにキャベツやブロッコリーなどの野菜を混ぜ入れます。カボチャやジャガイモなどの高糖質の野菜はお勧めしません。

犬は臼歯がありませんから野菜は細かく切り刻んであげてください。青汁を野菜の代わりにする日があっても良いでしょう。非加熱のものを勧めます。市販の野菜ジュースの多くは糖質が多すぎるので使えません。

代表的な食材とお勧め度

食品成分表
食品名 水分 たんぱく質 脂質 糖質 お勧め度
鶏ささ身 73.2 24.6 1.1 0 ◯
鶏もも皮つき 62.9 17.3 19.1 0 △
輸入牛かた赤肉 73.9 20.4 4.6 0.1 ◯
輸入牛ばら脂身つき 51.8 14.4 32.9 0.2 △
ウインナー 53.0 13.2 28.5 3.0 △
生卵 76.1 12.3 10.3 0.3 △
さけ生 72.3 22.3 4.1 0.1 ◯
さば缶詰水煮 66.0 20.9 10.7 0.2 ◯
しらす干し微乾燥 69.9 23.1 1.6 0.2 ◯
魚肉ソーセージ 66.1 11.5 7.2 12.6 ×
キャベツ生 92.7 1.3 0.2 3.4 ◯
ブロッコリー生 89.0 4.3 0.5 0.8 ◯
にんじん根皮つき生 89.5 0.6 0.1 6.4 △
西洋かぼちゃ生 76.2 1.9 0.3 17.1 ×
じゃがいも生 79.8 1.6 0.1 16.3 ×
さつまいも生 66.1 1.2 0.2 29.2 ×
スイートコーン生 77.1 3.6 1.7 13.8 ×
おから 75.5 6.1 3.6 2.3 △
挽きわり納豆 60.9 16.6 10.0 4.6 △
食パン 38.0 9.3 4.4 44.4 ××
オートミール 10.0 13.7 5.7 69.1 ××

避けたほうが良い食材

乳製品はお勧めしていません。特に乳腺腫瘍の子は悪化するといけませんので避けてください。牛乳がなくては困るというケースは少ないでしょうが、そのときは豆乳にしてください。

ニンニクが危険という意見がある反面、ニンニクの入ったフードも市販されています。人間の場合は抗がん食品とされているので迷うところですが、積極的に与えるのは控えてもらっています。少量ならば可としています。

タマネギ、長ネギは昔から良くないと言われている食材です。人では血液をサラサラにしてくれる食材ですが、犬猫ではその作用が強く出て溶血してしまうのだそうです。念のために与えないでください。保管場所にもお気をつけ下さい。

ソーセージやハムなどの加工食品はお勧めしていません。タンパク源にはなるのですが、がんや免疫の働きが落ちている子には、添加物の多い食品はあまり与えないほうが良いと考えています。

犬や猫に人の食材を与えて良いのか?

「犬や猫に人が食べるものを与えてはいけない」「ドッグフードやキャットフード以外を与えてはいけない」とどこかで習ったかもしれませんが、あまり根拠のない話です。犬や猫が人と違う何か特殊な栄養素や化学物質を必要としているといったイメージを持っているかもしれませんが、それもありません。人の食材はペットフードよりも遥かに質が高いので、うまく使っていくと治療や予防に有益です。

実際に人間の食材をトッピングして食べている犬猫は何十万、何百万といるでしょう。完全手作り食にしている飼い主様も大勢います。※長期間完全手作り食にするときにはある程度の知識が必要です。

もちろん人の食材と言っても白米やパン、お菓子などをたくさん与えていてはいけません。糖質の摂り過ぎはがんの成長を促すだけでなく、血糖値を高くして腎不全や血管障害などの様々な病気を引き起こすというリスクがあります。過剰な糖質はどんどん脂肪に変換され蓄積されますから、肥満を招き、いわゆるメタボリックシンドロームを引き起こします。肥満が背骨に負担をかけるため腰痛や後脚麻痺の心配も高まります。

前の項目の「避けたほうが良い食材」にも注意してください。

ペットフードのおかげで犬猫の寿命が伸びている考える人も多いかもしれませんが、本当にそうでしょうか?

実際にフードの普及は栄養失調の犬猫を減らしたり、腐ったりカビの生えた食事を与える機会を減らしたでしょう。ですが寿命の延長の大きな要因は屋外飼育から室内飼いへの移行です。フードはあまり関係ありません。

屋内飼いが増えたためにケンカや交尾による感染症や怪我、交通事故が激減して若年で命を落とすケースが激減しました。寒暖のストレスが無くなったことも大きいでしょう。もし病気になっても飼い主様が異変に早く気づくようになりました。

他にも動物病院が増えて救急治療が受けやすくなったこと。フィラリアの予防薬の普及が若年死を減らしたこと。これらが犬の寿命延長に大きく貢献しています。

ワンちゃん・ネコちゃんは本当に雑食なのか?

犬・猫は肉食?それとも雑食?ネット上には様々な意見や情報があり混乱を招いていますが、私たちは「肉食」であると考え、特に病気の犬には肉や魚を与えることを勧めています。いろいろな説の中でも、説得力があって根拠として十分だと思う説を紹介します。

ワンちゃん・ネコちゃんの祖先はミアキスと言う肉食哺乳動物で、そこからイヌ科・ネコ科・クマ科と進化を遂げたと言われています。

飼育犬が登場したのは1~1.5万年前(もしくはもっと前)だと言われていますが、そのころの犬も肉食です。なぜなら人々はまだ狩猟生活をしていたころだからです。犬には獲物の残りを与え餌付けしていたと考えられます。自分でも小動物を狩って食べることがあったでしょう。

その後、農耕技術の発達とともに人は穀物を食べるようになってきます。しかし飼い犬に保存のきく穀物を与えるのはもったいですから、やはり狩りの獲物の食べ残しをメインに与えていたことでしょう。すぐに傷んでしまう肉を優先的に与えていたと考えるのが自然です。

ネコちゃんの場合、リビアヤマネコが家畜化されたことが飼育猫の始まりであり、生活の変化はワンちゃんと同様だと考えられます。

犬・猫が穀物を多く食べるようになったのはここ数百年内のことです。

保存技術(冷蔵庫など)の進歩で肉や魚が傷みにくくなり、穀物のほうが安価な時代となったため、犬・猫に与える機会が増えました。ペット用のドライフードが開発され、そこには穀物がたくさん使われるようになりました。保存剤の進歩やカビを抑制する技術が向上し、今日のように広くドライフードが普及したというわけです。

ワンちゃん・ネコちゃんは与えられたものを食べるだけですから、食事内容が変わってきたのは人間の都合によるものです。この食事の急変は、狼の頃からずっと肉食であった数百万年の歴史と比べると極めて短い時間での出来事です。

近年の品種改良により様々な犬種が生み出されてきましたが、それで雑食に近づくわけではありません。肉食の犬をかけあわせたところで、生まれてくるのはもちろん肉食の犬です。

遠い昔のことばかりでなく、目の前にいるワンちゃん・ネコちゃんを見てもわかることがあります。ワンちゃん・ネコちゃんのほとんどの歯は肉を切り裂くのに適した鋭い歯です。

臼歯もありますが、その形状は人や草食動物とは大きく異なることがわかるでしょう。ワンちゃん・ネコちゃんの臼歯は肉や骨を砕くこと適しています。その機能は臼ではなくハサミです。

実際に食事を与えて観察してみると、さらによくわかります。上下の歯を左右にずらすようには顎が動きません。臼歯で食材をすり潰すことはできないのです。身近に観察できる肉食の証です。

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