犬的癌症

犬の多中心型リンパ腫ー特徴、治療法、改善のヒント

犬の多中心型リンパ腫について

多中心型リンパ腫はリンパ腫の一種

犬の悪性腫瘍の中でもご相談が多いのが、リンパ腫です。
リンパ腫は5~10歳の間に発症しやすいと言われていますが、10歳以降のシニアの子からのご相談も多くいただいております。

リンパ腫は血液の成分であるリンパ球ががん化した悪性の腫瘍、いわゆる「がん」で、主に体の中にあるリンパ節から発生しますが、全身のどこでも発生する可能性があります。

悪性リンパ腫を発症しやすい犬種には、

・ゴールデンレトリーバー
・ビーグル
・プードル
・シェパード

などが挙げられます。

リンパ腫には、その部位によって消化器にできる消化器型リンパ腫や体表にあるリンパ節が腫大するのが特徴的な多中心型リンパ腫、皮膚や口腔粘膜(口の中)に発生する皮膚型リンパ腫、心臓近くに存在する胸腺や、縦隔と呼ばれる左右の肺の間の部分に出来る胸腺型(縦隔型)リンパ腫、そして目、中枢神経系、腎臓などに出来る節外型リンパ腫の5つに分類されます。

犬の場合には、悪性リンパ腫の8割が多中心型リンパ腫と言われています。

犬の多中心型リンパ腫の特徴

悪性リンパ腫の中でも一番多い種類が、『多中心型リンパ腫』です。
体には様々なリンパ節が存在しますが、多中心型リンパ腫の場合には、体表にあるリンパ節が腫大します。

体表にある主なリンパ節は

・下顎リンパ節:顎の骨の内側に存在。
・浅頸リンパ節:首の筋肉の間に存在。
・腋窩リンパ節:脇の下に存在。
・膝窩リンパ節:膝の裏に存在

になります。

正常でも触ることが出来ますが、体表にあるため腫大すると触診ですぐ気付くことが出来ます。

症状としては、これらのリンパ説の腫大に加えて、食欲低下や嘔吐、下痢、体重減少などが見られます。
病態が進行してくると、肝臓や脾臓、骨髄にまで浸潤します。

通常はリンパ腫の腫大以外に症状が見られないことも多いため、日常的に体を触り、早期にリンパ節の腫れに気付くことが重要となります。

※リンパ節が腫大=リンパ腫というわけではなく、細菌感染やウイルス感染などによる炎症による腫大もあります。

犬の多中心型リンパ腫の検査法

悪性リンパ腫の確定診断には、腫大している場所から細胞を抜き取る(針生検・バイオプシー)方法と、手術によって組織を取り出す方法があります。
腫大部が大きい場合には、針生検でも十分な細胞を抜き取ることが出来ますが、腫大部が小さいことなどによって細胞が十分量確保できなかった場合には、誤った診断結果が出ることもあります。

リンパ腫が確定しないことには、抗がん剤などの積極的治療は開始できません。
進行が早いが抗がん剤が効きやすい『低分化型』『B細胞性』、進行は遅いが抗がん剤が効きにくい『高分化型』『T細胞性』の分類も重要となります。

多中心型リンパ腫の治療法

犬のリンパ腫は抗がん剤に反応しやすいため多中心型リンパ腫の一般的な治療法も抗癌剤を使った化学療法になります。
また、炎症を抑えたり食欲を出すためにステロイドを使用することも多くなります。

リンパ腫の治療では1種類の抗癌剤だけでなく、数種類の抗癌剤を組み合わせた多剤併用療法を行うケースが多くなります。
多剤併用療法は2、3種類のそれぞれ特徴・副作用が異なる抗癌剤を組み合わせて行う治療で副作用が偏らないことや効果が高まることが期待できます。

リンパ腫の場合には『プロトコール』と言って、どの薬剤をどのタイミングで使用するかというマニュアルに沿って行われますが、抗癌剤の効き難いタイプのリンパ腫や抗癌剤に耐えられる十分な体力がない場合は、抗癌剤治療を使用しない事もあります。

化学療法により、一時寛解に持ち込めたとしても、それはリンパ腫が治ったという事にはなりません。
寛解になったとしても多くのケースで再発してしまいます。

抗がん剤治療を行っている間は、ご愛犬のQOLが保たれているか、しっかりと経過を見ることが重要となります。

抗癌剤治療を受ける前にご確認頂きたいこと

「無治療なら余命は1~2ヶ月」と言われると、つい獣医師に全てをゆだねるしかないと考えてしまいがちです。
治療がうまくいき、ご愛犬の体調が改善しリンパ腫が治るのであれば獣医師に全てを任せても良いと思います。

しかし、現実には化学療法を行い一時寛解に持ち込むことはできても、長期にわたり体調が安定したりリンパ腫が治癒することはあまり多くはありません。

ところが、飼い主様(ご家族の方)がご家庭でしっかりとした取り組みを行えば、リンパ腫の進行・悪化を抑え事もできるのです。
結果としてご愛犬のQOL(生活の質)は向上し、元気食欲を維持しながらリンパ腫と共存したり、リンパ腫を克服できるかもしれないのです。

「抗癌剤治療を受ければ半年、受けなければ1~2ヶ月」と言われたら、それは抗癌剤が良く効いて、副作用も少なかった時に限る話です。
抗癌剤治療を受ければ必ず延命できるのか、副作用で元気がなくなってしまう事は無いのか、効果は必ず得られるのかなど獣医師に確認されてみることをお勧めします。

多中心型リンパ腫の改善方法

食事の見直し

多中心型リンパ腫を患ってしまったご愛犬の体調を改善する方法として、すぐに取り組んでいただきたいのは、お食事の内容を見直すことです。

リンパ腫の成長にはブドウ糖が欠かせません。
逆に言えば、ブドウ糖の摂取量を減らせば、リンパ腫には栄養が行き難くなり、リンパ腫の成長にブレーキがかかりやすくなるのです。

ですから、ご愛犬がリンパ腫と戦うために普段のお食事の内容を見直し「低炭水化物(低糖質)・高たんぱく」「ビタミン摂取」を心がけて頂きたいのです。

がんの食事療法はこちら

低炭水化物(低糖質)・高たんぱくの食事についてはこちら

ビタミン摂取の重要性についてはこちら

私たちは、フードの成分表示(成分分析値)の「粗たんぱく質」がドッグフードであれば最低でも35%以上、キャットフードであれば最低でも40%以上のものをお選びいただくようお伝えしています。

さらに体の負担を軽くしてあげたいと言うことであれば手作り食にも取り組んでいただければ理想的です。

ただ、お仕事等で完全手作り食はどうしても負担が…ということであれば、高たんぱくのドライフードにお肉やお魚をトッピングするだけでも栄養価はグッと高まります。

K9ナチュラルのグリーントライプを普段のフードにトッピングするのもお勧めです。

グリーントライプは反芻動物の胃袋を生のままフリーズドライしたもので、良質なタンパク質やEPA/DHA(オメガ3の必須脂肪酸)、乳酸菌そして酵素などを補給できます。

抗癌剤治療を受ける・受けないにかかわらず免疫を整える事は重要です

抗がん剤治療を開始すれば体力・免疫力はほぼ確実に低下してしまいますので、その対策は考えたほうが宜しい思います。
まずは良質のたんぱく質が豊富な良い食事を与え、副作用で治療をリタイアしないための体力をつけてください。そして免疫を落とさないようにしてください。

化学療法(抗癌剤治療)や手術(特に麻酔)は免疫を下げてしまいます。

犬も人間も免疫がしっかりしていなければ様々な病気になってしまいます。
癌についても同じです。

癌は私たちの身体に毎日発生しています。しかし、免疫がしっかりしていれば癌を見つけ出し、攻撃し、癌の成長を阻止することができます。
逆に免疫がしっかりと働かなければ、癌の発生を見逃してしまったり、癌の成長を許してしまいます。

ただし、免疫は高ければ良いと単純には言えません。自己免疫疾患のように過剰免疫も問題になってしまいます。

免疫は低くても高くてもダメなのです。中庸(ちゅうよう)という言葉がありますが、まさに免疫は中庸が大切、バランスが大切なのです。

ご愛犬の免疫システムを成長に戻すための試みとして、コルディをご利用下さい。

コルディをお飲みいただく事で、ご愛犬の免疫がしっかり働いてくれるようになれば、きっと癌との共存も可能になると思います。

さまざまな治療の「いいとこ取り」に可能性があるのです。抗がん剤一本槍では明らかに力不足です。それを補完する治療を組み合わせていくことが大切だと思います。